丹田気海
最近改めて、丹田気海を練ることの大切さを痛感している。
では、丹田、気海とは何か。漢和辞典には、「丹田は臍下四から五センチのところをいい、体気をここに集むれぱ心散乱せず、思惟に適する」とあり、気海については「臍下四から五センチのところで呼吸の根本のところ」とある。
要するに、丹田も気海も名前は異なるが、下腹の呼吸の根本、気の集中するところを指している。更に言えば、丹田とは丹(まごころ、赤心)の田(田地)、即ちまごころの田地、気海とは気(空気、宇宙の気)の海(大海)即ち宇宙の気の大海原である。
苧坂光龍先生は、「呼く息は丹田に、吸う息は気海に」とよく述べておられた。では、具体的にどのように行うのかというと、呼吸は鼻で行う。息を呼く時は臍の上から下の方に腹をすぼめてゆく。七、八分通り呼いたところで吸う息に移る。吸う時はこれと反対に、力を抜いて下から上へとふくらませてゆく。これが丹田(気海)呼吸である。この時の腹の状態は、丁度錐で穴を開けたゴムボールを手で握り、徐々に圧迫して空気を出し、ある程度出したところで今度は手の力を抜いてゆくと、徐々に膨らんで元へ戻るのと同じ要領である。呼く時は腹を臍の上から下腹へとへこませてゆくが、上から下へと気が集中して行く下腹のところが丹田であり、吸う時下から上へと膨らみながら、鼻から入った空気が下腹の方へと満ちて行くところが気海である。
初めは要領を得ないが、毎日続けていると丹田気海の絶妙の味わいというものがわかってくる。呼く息、吸う息で、ひと1つ、ふた1つと数を念ずる場合でも、あせらず、無理をせず続けることである。初めは念ずる力が弱くても、回を重ねるごとに強まってゆくことがわかる。多くの古人がこの練丹の法によってお悟りを開かれた。無理はせず。油断なく、諦めずに続けることである。
道に入るための方便として、丹田呼吸は誠に素晴らしい。「呼く息は丹田に、吸う息は気海に」は丹田呼吸の要である。